いつかは介護・5分の3の記録

脳梗塞で倒れた家族の介護日記でしたが、死生観なども綴ります。

いきさつ

古いOS

義父が風邪をひいた話を古いOSに絡めて書こうとしていたら、その前にいろいろあって、その間に無事に風邪は治ってしまったらしい。それは安心して良いことなのだが、今度は実家のほうが安心できないことになりつつある。こちらは認知症が気にかかる。義父も…

夢にみるもの

先日の夢に 義父が登場した。 今くらいのやせた体型だが、玄関の上がり口で すっと立っていた。私は外でなにか忙しくしていて、玄関に入ったところに義父がいたのだ。話しかけられたような気がするが、そこで記憶は終わっている。やはり家に戻りたいという気…

月 光 4/コンクリートと心意気

ちょっと話が重すぎるので、違うエピソードなど。先日あった話。とあるところで、コンクリート談義になった。セメントに水を加えて、セメントに。そこに砂を加えると、モルタルに。じゃあコンクリートは?セメントと砂と水に砂利を加えて、コンクリートに。…

月 光 3

悪者さがしをしているのではない。裁くのが目的ではない。もっと明るい方向へ持って行きたい。そうでなければ この連鎖は終わらないのだ。 生きていくのなんて本当に面倒くさいこと。安全と便利は、ひとをつなげているようでいて、つなげ方を忘れさせる。た…

月 光 2

風にあおられ、実りの時を待たずして地面に落ちた青い実は、鳥や蟻も近づかないのだ。昨夜はどうにも重たくて考えがまとまらなくて、走り書きで終わってしまった。子どもの素行を苦にして、その母親は命を絶ちました。そんなことがありました。彼女を責める…

月 光

無花果のはぜるに任せ秋の夕にかくもあらんと背を押せるきみ枝に生る(なる)うちは隣同士の実でも甘さや熟れかたなど本当のところはわからないが、完熟になり身が裂け、地面に落ちたときにはじめて内面が晒され、どんな出来だったかが露わになる。熟して落ち…

平行移動

新しい施設に移った。 今度は老人保健施設、いわゆる老健だ。 ここからは医療ではなくなるため、がんばっていたリハビリも今までほど真剣味はなくなるようだ。 麻痺のある左半身が固まってしまうのを和らげる目的。 今までのが筋トレならこれからのはラジオ…

希 望

死にたい死にたいとつぶやく言葉飛び込む耳に “死にたい”の型が形成される死にたいほど死にたいわけじゃない思い通りにならないなら死にたいとそう言ってるこの先の話“思い通りにならない”かなわない望みその言葉のほうが重いのに軽くオーバーフローして密度…

夏 祭

リハビリのおかげもあって、個室から4人部屋へとまた劇的な回復を見せた義父は、意識もはっきりし、この頃食欲も増している。 元気な頃から鰻、ブリの照り焼き、味噌煮込みなどこってり濃い味が大好きな義父のこと、病院で用意される薄味の食事ではもの足り…

お引越し

転院はいつも急にやってくる。 受け入れ先の病院に空きがでた瞬間に、電話は鳴る。 「明日、午後から転院に決まりました。」 お勤めの人、どうするんだろう?転院には家族の付き添いが必要となるというのに。その日もタイトなスケジュールではあったが、なん…

くもりのちはれ

病院から電話が入る。 「病状も落ち着いて、悪化する可能性もあまりみられませんので、また4階の療養病棟にうつることになります。」 療養病棟は、つぎのリハビリ病院にいくまでの間の、いわゆる仮の宿だ。 「そのあと、以前と同じリハビリ病院に転院する予…

生きるという意味

個室に移ってから、義父はあまり人に興味を持たなくなり、意識とか他者の認識などがおぼろげになってきた。お見舞いにいった家族の顔を見ようとせず、目が合っても名前を呼ぶこともなく、人のいないほうに向かって何か話していたりする。 あれほど人との関わ…

謀 反

元気に回復をみせ、HCUから一般病棟(ここでは相変わらず内科^^)に移り、早くもとろみ食を食べさせてもらえるようになった義父は、「まあ回復も早いので、次を考えましょう。」などと医師から説明を受けていた。そこでホッとしていた矢先、また病院から電話が…

変 化

動かなかったものが、動き出す。ぼんやりと横を向いたままの瞳が、はっきり人にフォーカスを合わせるようになる。笑う。悲しげに眉を下げる。言葉ははっきりしないものの、目の前の人の名前を呼ぶ。急変を聞いて週末にお見舞いに訪れた親族から、仕事中の私…

再度スタート!

一晩おいて急変しそうにないとの判断で、翌朝内科の一般病棟に引越しするという連絡が入った。 喜ばしいお話だが、短期間に再発の可能性はぬぐえないとのこと。 言葉と目がまだ戻らないが、右半身が動く様子を見ながら、まずはひと安心する。 先日も書いたが…

回復期からふりだしに戻る日

枝葉のことにこだわりすぎると幹が見えなくなるものだが、あとは老健の部屋待ちのみと、まさに回復期どころか安定期を迎えた妊婦のようにどっしり構えていたら大変なことが起こっていた。前日の医師の話。「この前から便に血液が混じるようになって、肝臓の…

回復期1

「急性期を過ぎた」ということは「これ以上急激に悪化する可能性はない」はずで、少しホッとしたのもつかの間、 「今後の流れですが、いずれ在宅で介護できるようリハビリを進めていきます」 との笑顔の説明に驚く。 いくら回復したとはいえ、まだ経口で食事…

急性期3

酸素マスクははずれたが、依然 点滴にはお世話になっていた。 入れ歯をはずしているために頬がへこむのは道理ではあるが、腕や足は徐々に細くなってゆく。 家庭菜園の土を耕して、ひと家族が使う一年分の玉葱やジャガイモを作っていた筋肉は落ち、肌の艶はな…

急性期2

動くはずの義父の右手がカワイイことになっていた。ボクシングのグローブを広げたような白く大きなミトンがつけてあったのだ。 写真では原寸わかりにくいが、大人の顔の大きさくらいは優にあった。 「どうした、これ?」ミトンは緩衝材が入っているらしくふ…

急性期

朝まで緊急の連絡は入らなかった。 入院の用意をととのえて病院に向かう。 半年ぶりのHCU。 カーテンで仕切られた一番手前のベッド。 目は開いてはいるが、うつろで濁っている。 左半身は硬く動かないまま、点滴のチューブが走っている。 まずは症状が悪…