くもりのちはれ
病院から電話が入る。
「病状も落ち着いて、悪化する可能性もあまりみられませんので、また4階の療養病棟にうつることになります。」
療養病棟は、つぎのリハビリ病院にいくまでの間の、いわゆる仮の宿だ。
「そのあと、以前と同じリハビリ病院に転院する予定なのですが」
前と同じ流れなので手続きなどもスムーズにできるが、問題は今の状態だと個室に入らざるをえないということだ。
今の病院で1日あたりの差額ベッド代が4千円台。数日のことならなんでもないが、これ数ヶ月続くとなると笑いがこみ上げる。
「個室・・・ですかぁ」
でも仕方のないことなので、判断はおまかせしますと返事をした。
午後になって再び病院から電話が入る。
「個室の件ですけど」
看護師長さんがリハビリ病院の個室の値段を調べてくれた上に、すぐにそちらの部屋が用意できるようなら、療養病棟に入らずに今の部屋で待機し、直接リハビリ病院に転院できるよう話を通してくださったのだそうだ。
これで手続きなどが減り、こちらも気が楽になる。
「ありがとうございます。でも今の部屋は急性期の方のための部屋なので、もし次の患者さんが待ってるようなら義父はどこかに放り出してもらってかまいませんから。」
と笑って言うと、そんなこと言ってくださるのはMさんだけです、という師長さんの言葉になぜか連帯感を覚えたりする。
現場に携わる方はいつもまっとうだと感じる。
それはどの病院へ行っても同じだった。