月 光 2
風にあおられ、実りの時を待たずして地面に落ちた青い実は、鳥や蟻も近づかないのだ。
子どもの素行を苦にして、その母親は命を絶ちました。
そんなことがありました。
彼女を責める気などさらさらないが、私のこころに残ったのは哀しさだけではなかった。
その場にそぐわないものを拒絶するのは簡単なことだ。
同じ立場にいるもの同士なら、それでいいのかもしれない。
だけど、子どもより上の立場であり、また義務教育のなかで子どもを指導するものが彼を拒絶した。
数年先の彼を考えればわかること、その子にあった別の道を示すことが大人の義務だろう。
その道が少なすぎる。
そして偏見に満ちている。
受けとめる器がなさすぎる。
行き場のない力と感情だけが溜まっていく。
問題は、その先に起こる。
お母さんがもっとしっかりするべきでしたか?
子どものしつけが間違ってましたか?
ひとつのいのちと引き換えに得たものって、なんだろう?
これで なにか変わりますか?
行き場のない子は どこにもいる。
行き場がないのは 子どものせいだけじゃない。