番外編・2
ひとに負担をかけるといえば、危害を加えて破壊するのがよくあるパターンだが、甘えや依存で自立しないという崖の底へ引きずり下ろすパターンもある。
破壊からは逃げることが先決だが、依存からは逃げられないこともある。
親を見るのが当たり前、ひとに迷惑をかけないのが当たり前、きちんと子どもを育てろ、経済的なことも含め自分たちの力でやっていけと親族から突き離されたなかで、父親が原因でいくつもの挫折を繰り返していた。
波紋は拡がり、自分に飛沫がかからないよう、周りは離れていく。
四面楚歌のなかで父親は倒れ、長く入院することになる。
身体は元には戻らないものの、記憶や意識ははっきりしていた。遠くに住む兄弟に相談しようとしても、体調不良を理由に接触を断たれる。
「なにかあったら言いなさいよ」
でも伸ばした手はいつも振り払われる。
正論だけが一人歩きし、誰も本当の姿など見たくもないのだ。